患者・家族と地域社会に必要とされ、継続できるこども病院を目指して
宮城県立こども病院は2003年11月に東北唯一の小児周産期・高度専門医療施設として開院し、2016年3月に宮城県立拓桃園と統合しました。これにより、小児・周産期の急性期から慢性期、リハビリテーション、在宅医療までを一貫して担う小児医療・福祉施設になりました。宮城県内のみならず、東北全域の医療施設から多くの患者さんをご紹介いただきまして心から感謝申し上げます。
最近の社会状況と医療環境は凄まじい勢いで変化しています。感染症が減少し、発達障害が増加するなど小児の疾病構造の変化が顕著です。また、ゲノム医療や新規治療の開発で多くの難病のこども達が成人年齢を迎えられる様になり、日常的な医療ケア児への対応や在宅医療の充実、さらに成人移行支援の必要度が増しています。
2020年(令和2年)1月から約3年間続いた新型コロナウイルス感染症パンデミックは社会に甚大な影響を与え、2023年5月に5類感染症となり終息しました。しかし、コロナ禍で加速した少子化は東北など地方において顕著であり、小児医療提供体制への影響が懸念されています。小児医療は大人と比べ医療スタッフの人数も多く必要とし時間と労力を要する一方、現行の診療報酬体系の中では小児医療に対して必ずしも十分な措置がされているとは言い難い状況です。
宮城県立こども病院は、この様な社会変化の中にあっても、東北のこども達が必要とする医療環境と医療者育成に継続して貢献することが求められています。患者家族と地域社会のために果たすべき役割を見極め、チームワークと柔軟な発想で継続することが大事です。
どうぞ、宮城県立こども病院に対する皆様の温かいご支援とご理解を、心からお願い申し上げます。
地方独立行政法人宮城県立こども病院
理事長 今泉 益栄
これからも「すべての子どもにいのちの輝きを」の理念のもとに
2025年3月28日に呉繁夫前院長の後任として院長を拝命しました。東北唯一の小児・周産期専門病院の舵取り役として、課せられた使命と責任の重さを改めて痛感し、身の引き締まる思いでおります。
2003年に開院した当時は、医師21名、病床数88床の小さな小児病院でした。段階的開院、2006年の地方独立行政法人化、2016年の宮城県立拓桃園との統合を経て、現在では241床、医師約90名をはじめ約700名の職員による、東北地方になくてはならない小児総合医療・療育施設となりました。開院準備から関わってきた私には、21年の歳月があっという間に感じられるとともに、宮城のこども病院の成長ぶりが感慨深く思われます。
一方、この間に急速な少子化の進行、小児の疾病構造の変化など、小児医療を取り巻く環境は大きく変化しました。また、治療の進歩に伴う医療的ケア児の増加や、在宅医療、さらに成人移行支援への対応が求められています。そして、国内の多くの公的病院や小児病院と同様に、現在の厳しい経営状況を改善することが最も重要な課題となっています。より広域の医療圏を診療対象とし、東北各県の大学病院および中核病院、地域医療を支える市中病院やクリニックとの連携を強化して、当院の強みである先進的なチーム医療を提供してまいります。
開院当時の基本理念である「すべての子どもにいのちの輝きを」、および設計理念である「元気のでるファミリーホスピタル」をこれからも高く掲げて、引き続き高度な小児医療・療育を実践してまいりますので、これまで同様ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
宮城県立こども病院
院長 虻川 大樹