ファロー四徴症 Tetralogy of Fallot (TOF)
ファロー四徴症(TOF)は、大動脈騎乗、肺動脈狭窄、右室肥大、心室中隔欠損症の4つを伴った疾患です。
肺動脈狭窄のため、肺への血流が少なく、チアノーゼ(血液中の酸素が不足することをきっかけとし、くちびるや指先などの皮膚や粘膜が青紫色に変化した状態を指します)を引き起こします。
肺動脈狭窄の程度により重症~軽症まで幅広く存在します。
軽症の場合、チアノーゼも軽度ですぐに治療の必要はありません。
治療は、基本的に外科手術が必要になります。
外科手術は、姑息手術と根治手術に分けられます。
肺動脈狭窄が軽度の場合
幼児期まで待機してから、根治手術(心室中隔パッチ閉鎖術+肺動脈狭窄を解除する右室流出路再建術)を行います。
根治手術は、胸骨正中切開アプローチで人工心肺使用下に行います。通常生後6か月以降となります。右室流出路再建術では肺動脈弁が体重に応じて十分な大きさがあれば、自己肺動脈弁を温存し、小さい場合は右心室から肺動脈まで切開し、1弁付きパッチを用いた右室流出路再建を行います。
肺動脈狭窄が重症の場合
重症チアノーゼから無酸素発作(重度の低酸素状態)の危険があるため、新生児~乳児期に姑息手術(体肺動脈短絡術:細い人工血管によるシャント手術)が必要になります。主にシャント手術は体動脈肺動脈短絡術(ブラロック・トウシッヒシャント)といいます(図)。シャント手術は側開胸と胸骨正中切開アプローチがありますが、最近では胸骨正中切開アプローチで行う場合が増えてきています。シャント手術により肺動脈の成長を待ってから根治手術を行う2段階手術が必要になります。
根治手術における注意するべき合併症
- 刺激伝導路障害による房室ブロック
永久的な障害ではペースメーカー植え込みが必要になります。(正常循環の項参照) - 右室流出路再建後の肺動脈弁狭窄または閉鎖不全症
もともとの肺動脈弁の大きさや形、根治手術の方法にもよりますが、遠隔期や成人期になってから、肺動脈弁狭窄や閉鎖不全に伴う心不全を引き起こす場合は再手術が必要となります。
シャント手術における注意するべき合併症
- シャント閉塞
術直後に起こることが多く、再手術が必要になります。 - シャントの流れすぎによる心不全
内科的治療で心不全のコントロールできない場合は再手術が必要になります。