成人移行支援について
長期にわたる小児診療科への通院の間に、患者さんであるこどもたちは成長します。
「なぜ病院に行くのだろう?」「なぜ検査をしたり薬を飲んだりするのだろう?」
患者さんに湧き上がる様々な疑問に、医療者や保護者は上手く説明できるでしょうか?
高校生年代の患者さんであっても、自身の病名あるいは治療対象となる病態(体の中で起こっていること)について分からない方もおられます。上記の疑問に対して自分なりに納得する意味でも、まずは自身の病名・病態を知るところから始まります。
今までご家族に見守られ成長してきたこどもたちは、やがて自立(自律)の時を迎えます。自分自身の病気を正しく理解し、向き合い、周りの人たちとコミュニケーションを取りながら病気とともに歩んでいく必要があります。患者さんが成人に至る過程において、心身の成長に合わせて支援を行っていきますが、そのサポートのことを『成人移行支援』と呼びます。
宮城県立こども病院における支援活動については、こちらをご覧ください。
・ 成人移行期支援外来
・ チーム医療「成人移行期支援チーム」
成人移行支援の内容
自立(自律)支援と医療体制の整備が主な内容です。
自立と言っても「ひとりで生きていく」ことではなく、周囲に頼るべきときは頼り、拠りどころとする人や組織、場所を増やしていき、そこへアクセスできる術を知っておくことが自立(自律)になります。その手助けを行うのが、医師や看護師、薬剤師、OT、PT、心理士、栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種の医療スタッフになります。
医療体制の整備は、全県的な取り組みになります。成人年齢患者さんが、小児診療施設から成人診療施設へスムースに、そして途切れることなく診療が継続できるよう、医療体制を構築する必要があります。患者さんを中心として医療施設間の意思疎通を図ることが重要になります。
成人移行支援センターの活動
- 治療をしながら成人へ至る過程で生じる、様々な疑問や問題に対して相談に応じていきます。
- 成人移行支援の活動を各医療施設に広め、患者さん側にも講演会などを通じて自立(自律)や医療制度などに関する事柄を伝えていきます。
相談方法
- 当センターのホームページから相談フォームにて受け付けます。
患者・ご家族用フォーム 医療機関用フォーム - 電話(050-1721-3186)による相談も受け付けます。
受付時間:月曜日・水曜日・金曜日 13時~16時(平日に限る)
センター設置受託に至るまでの経緯
成人移行支援に関するおすすめサイト5選
サイト名・URL | コメント |
小慢さぽーとせんたー https://www.ped.med.tohoku.ac.jp/syousapo/ |
宮城県・仙台市からの委託により東北大学病院内に設置されています。 各種相談の受付、患者会・家族会の紹介、講演会のお知らせなど、多様な活動を行っています。 |
宮城県難病・小児慢性特定疾病ポータルサイト https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/situkan/miyaginanbyoshomanpotal.html |
宮城県が作成しているサイトで、小児慢性特定疾病対策や難病対策に関する情報、ニュースなどを掲載しています。 それぞれに関する制度の説明、申請方法、各種相談窓口や関連事業の紹介など、関係サイトへのリンクが豊富で、このサイトにて慢性疾患に関する情報がワンストップで得られると思います。 |
宮城県医療的ケア児等相談支援センター「ちるふぁ」 https://miyagichilfa.org/ |
「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に基づき宮城県が設置した施設です。 医療的ケア者とその家族および関係者が気軽に相談でき、様々な支援を行っています。InstagramやFacebookなどでも情報を発信しています。 「ちるふぁ」とは”child first” と “child&family” が由来だそうです。 |
小児期発症慢性疾患をもつ患者のための移行支援・自立支援情報共有サイト https://transition-support.jp/ |
患者・家族および医療関係者へ向けた移行支援、自立支援に関する情報提供や、全国の移行期医療支援センターマップなどが掲載されています。 他の地域の支援センターホームページにてその活動内容などを閲覧することができます。 |
日本小児科学会 移行期医療における疾患別ガイド https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=153 |
1型糖尿病や小児がん、心室中隔欠損症などの内科系疾患の他、胆道閉鎖症や脊髄髄膜瘤などの外科系疾患について、簡単な病態や成人期の課題などを疾患別にPDF書類でまとめています。 「胃瘻保有者」や「気管切開保有者」などの医療的ケアを要する状態についても記載されています。少し内容が難しい部分もありますが、小児科医以外にも理解してもらえるように、と作成されているようです。 |